「宏明、おつかれ」
「おう」
「ねえ、あの人すごいね」
「仙道?あいつ一年だぜ」
「え!もう先輩に混ざって練習してるの?」
「すげーよな」
「うん、かっこいい」
「あっちの練習見てきたら」
「なんで」
「一年の基礎練なんか見ててもつまんねーだろ」
「そんなことないよ」
「……今、仙道のことかっこいいって言ったし」
「私は宏明を見てる方が楽しい」
「オレは見せ物じゃねーぞ」
「早くレギュラー取ってよ」
「おー」
「なにその間抜けな返事」
「疲れてんだよこっちは」
「宏明のかっこいいところが見たいって言ってんの」
「急に変なこと言うなバカ」
「試合中の宏明がかっこいいのは本当のことだもん」
「は」
「……練習中もかっこいいけど」
「……調子狂う。もう帰れ」
「やだ。私、こうして宏明のことを見てる時間が一番好きだから」

 この休憩以降、基礎練にも関わらずミスを連発した。
「かっこわるう」
「うるせー!」